- 2009-12-24 (木)
- マーケティング・事例
200ヶ国以上に展開し、アクティブ顧客が7600万人に上る巨大ECAmazonについて。
ビジョンと戦略
2008年のアマゾンのビジョンは以下の通りです。
Relentlessly focus on customer experience by offering our customers low prices, convenience, and a wide selection of merchandise.
(価格を低く、便利に、そして商品ラインナップを広げ、とにかく顧客体験(の向上)に努める)
そして、顧客のリピートに対して真摯に取り組み、そのために利便性を向上させ、早くて信頼性の高いシステムを作り、顧客サービスを向上させ、コンテンツを拡張させています。
We work to earn repeat purchases by providing easy-to-use functionality, fast and reliable fulfillment, timely customer service, feature rich content, and a trusted transaction environment.
これら1つ1つは誰でも思いつくことかもしれません。
しかし、Amazon.comが他社と圧倒的に異なるのは、顧客に対して向き合う真摯さです。
あらゆる所で「Customer」を彼らは意識しています。
それは、単に売り上げを上げようとするだけの薄っぺらい施策とは一線を画します。
顧客
Amazonでは3タイプの顧客を定義しています。
- いわゆる購買顧客
- 販売者(seller)
- 開発者(developer)
そして、この3者すべてに対して上記のビジョンに基づいたサービスを提供します。
購買客だけでなく、販売パートナーや開発者も「顧客」と位置づけて、真剣に向かい合っている企業がどのていどいるでしょうか?
この3セグメントの定義は、簡単なことを言っているようで非常に高い次元の話だと思います。
確かに、例えばWeb関連の開発者にとってもAPIの整備、最近ではTwitter連携、豊富なツールなどAmazonは非常に魅力的な会社ですね。
競合
現在、そして未来を想定した競合として以下のプレイヤーを挙げています。
- リアル(ネット外)、カタログ、出版、ベンダー等
physical-world retailers, catalog retailers, publishers, vendors・・・(略) - 自社以外のEコマースプレイヤー
Other online E-commerce sites - 間接的な競合として、メディア、Webポータル、ショッピング比較サイト、検索エンジンなど
A number of indirect competitors, including media companies, Web portals, comparison shopping websites, and Web search engines・・・ - Eコマース関連サービスの提供者
Companies that provide e-commerce services, including website development
驚いたのは、検索エンジンやポータル、開発企業までもを(第1先ではないにしても)競合と認識しているとです。
オークションからマーケットプレイス(中古販売)へ
1999年、AmazonはeBayへの対抗策としてオークションを立ち上げていますが、わずか3.2%のシェアを獲得するに留まりました。
その失敗から脱却したのが「Amazon Marketplace」。
企業ビジョンである「Low Price」にもしっかりと寄り添っているこの商品設計も、一見簡単なようでかなり思い切った選択かもしれません。
(何せ、日本で見れば明らかですが、出版業界 vs 古本の構造をそのままサイトに持ち込んでいるんですよね・・)
The Culture of Metrics
また、Amazonは検証による改善(measured approach)を誰よりも大々的に取り入れています。
それはユーザーインターフェース等の細部にまで行き渡り、コンピューターベースのレコメンデーションUIのテスティングを繰り返して成長を促す「文化」になっています。
"But how do we factor in purchase?"((計測可能な)購買要因って何だろう?)
"Is that a measure of enjoyment"?(楽しさの計測?)
"I think we need to consider frequency of visits, too"(訪問頻度を測るべきじゃない?)
こんなやり取りを繰り返して、KPI(計測指標)をどんどん立ててゆき、仮説に基づいて分析を行う文化、それが「The Culture of Metrics」です。
テクノロジー
技術面でも、Amazonは通常のサイトではなしえない水準のサービスを提供しています。
(最近ではモロにインフラ提供、デバイス提供に進出していますね)
販売プラットフォームであるA9.comは勿論、物流管理から決算との連携まで、管理が行き届いているからこそクリスマスシーズンの大量の発注にも混乱することなく整然と業務をこなすことができます。
また、以下でも述べているように自分たちの手で、自分たちに最適なものをしっかりと作りこめるもAmazonのつよみです。
using primarily our own proprietary technologies, as well as technology licensed from third parties, we have implemented numerous features and functionality that simplify and improve the customer shopping experience, enable third parties to sell on our platform, and facilitate our fulfillment and customer service operations.
データに基づく自動最適化
アマゾンのレコメンデーションが優れているのは周知の事実です。
そして、その思想は以下のように表現されています。
‘Data is king at Amazon’
じつにシンプルかつ明確な思想です。
そして、集められた大量のデータは、以下の4つの目的で使用されます。
- コンテンツを自動最適化して、顧客の体験を向上させる(ここでも”ユーザ”が登場しますね)
- クリック率が低く、破棄率の高いキャンペーンメール送付を防ぐ
- メールを送り過ぎない(inbox management)
- 新着、レコメンドメールのライブラリを進化させる
こうやってアマゾンから提供される情報は洗練され、消費者は無駄な情報を見ることなく買い物ができるようになり、購買量も増える循環が起こるわけですね。
かつ、短期的な売り上げ施策のために顧客に不快な思いをさせてはならない、という配慮が行き届いているのも、リピートで支持される要因なのでしょう。
マーケティング・コミュニケーション
最後にコミュニケーション戦略です。面白いことに、アマゾンのコミュニケーション戦略は王道中の王道シンプルなものです。
言ってしまえば何の変哲もありません。
- 顧客のトラフィックを増やそう
- サービスや製品に関する「気づき」をもっと作りだそう(※create awarenessの訳がこれでいいのか不明・汗)
- リピート購買を促進しよう
- 商品を増やし、サービス収益の機会を増やそう
- Amazon.comのブランドネームを、強くし、もっと浸透させよう
しかし、かれらはこれを冒頭のビジョンに基づいて、もくもくと、着実に実践しています。
その「実行力」とその徹底っぷりこそがAmazonの凄さなのかもしれません。
ちなみに、AmazonはEC2/S3によってクラウドの市場に進出したり、Kindleで自らのデバイスを編み出すなどさらに積極的な展開を見せています。
これまでのAmazonとは明らかに違う顔を今後は次々と見せてくれそうで楽しみです。
インプレスR&D
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クラウドと一口にいっても
Googleの戦略が見える
クラウドの全貌というよりかはクラウド時代までのいきさつになっている
ICT業界のマーケター向きかなと思います。
良い本だと思います。 ■関連記事
最近のエントリー
Comments:2
- koma 2009-12-25 (金) 17:47
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おひさしぶりです。コマキネです。
Amazon、すごいですよね。。。
最近雲の世界に使っているので、「新しい一面」を利用していますが、使いづらさが日に日になくなっていきます。ちょっとばっかし感激します。
P.S. また飲みましょう!!
- Tomotaka.Imaki 2009-12-26 (土) 00:39
-
>コマキネ
久しぶりですねー。EC2はがんばってるよね。
じゃぁ年明けにでも是非!


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